共同研究機関
共同研究機関研究内容東京医科歯科大学
呼吸器内科難治性呼吸器感染症に対するリゾックスの治癒効果の検証帝京大学
医真菌研究センターリゾックスを用いた真菌類に対する抗真菌効果の検証
発表済み論文
雑誌名 著者 題名 日本医真菌学会誌 第58巻第3号 2017年(J 63-J 69) 影島宏紀、羽山和美、高橋美貴、安部美穂、山田剛、齊藤章、平野翔一郎、村上洋一、安部茂 リゾチームーキトサン糖複合体LYZOX(リゾックス)およびデカン酸との組み合わせによるカンジダ増殖抑制効果 PLoS ONE. 2019 May 28,14(5): e0217504 Saito H, Sakakibara Y, Sakata A, Kurashige R,Murakami D, Kageshima H, Saito A, Miyazaki Y. Antibacterial activity of lysozyme-chitosan oligosaccharideconjugates (LYZOX) against Pseudomonas aeruginosa,Acinetobacter baumannii and Methicillin-resistantStaphylococcus aureus. 獣医臨床皮膚科 25(3): 133-141, 2019 山本真紀子、影島宏紀、志津田陽平、瀬戸口明日香、小笠原茂里人、南 毅生、丸山奈保、鈴木基文、安部 茂 リゾチームーキトサン糖複合体(LYZOX)とデカン酸含有スプレーをマラセチア皮膚炎が疑われる犬の皮膚病変部に用いた効果の検討:9症例 雑誌名 著者 題名 日本医真菌学会誌 第58巻第3号 2017年(J 63-J 69) 影島宏紀、羽山和美、高橋美貴、安部美穂、山田剛、齊藤章、平野翔一郎、村上洋一、安部茂 リゾチームーキトサン糖複合体LYZOX(リゾックス)およびデカン酸との組み合わせによるカンジダ増殖抑制効果 PLoS ONE. 2019 May 28,14(5): e0217504 Saito H, Sakakibara Y, Sakata A, Kurashige R,Murakami D, Kageshima H, Saito A, Miyazaki Y. Antibacterial activity of lysozyme-chitosan oligosaccharideconjugates (LYZOX) against Pseudomonas aeruginosa,Acinetobacter baumannii and Methicillin-resistantStaphylococcus aureus. 獣医臨床皮膚科 25(3): 133-141, 2019 山本真紀子、影島宏紀、志津田陽平、瀬戸口明日香、小笠原茂里人、南 毅生、丸山奈保、鈴木基文、安部 茂 リゾチームーキトサン糖複合体(LYZOX)とデカン酸含有スプレーをマラセチア皮膚炎が疑われる犬の皮膚病変部に用いた効果の検討:9症例 雑誌名 日本医真菌学会誌 第58巻第3号 2017年(J 63-J 69) 著者 影島宏紀、羽山和美、高橋美貴、安部美穂、山田剛、齊藤章、平野翔一郎、村上洋一、安部茂 題名 リゾチームーキトサン糖複合体LYZOX(リゾックス)およびデカン酸との組み合わせによるカンジダ増殖抑制効果 雑誌名 PLoS ONE. 2019 May 28,14(5): e0217504 著者 Saito H, Sakakibara Y, Sakata A, Kurashige R,Murakami D, Kageshima H, Saito A, Miyazaki Y. 題名 Antibacterial activity of lysozyme-chitosan oligosaccharideconjugates (LYZOX) against Pseudomonas aeruginosa,Acinetobacter baumannii and Methicillin-resistantStaphylococcus aureus. 雑誌名 獣医臨床皮膚科 25(3): 133-141, 2019 著者 山本真紀子、影島宏紀、志津田陽平、瀬戸口明日香、小笠原茂里人、南 毅生、丸山奈保、鈴木基文、安部 茂 題名 リゾチームーキトサン糖複合体(LYZOX)とデカン酸含有スプレーをマラセチア皮膚炎が疑われる犬の皮膚病変部に用いた効果の検討:9症例
起点
バイオ&ヘルスケア事業推進本部は、機能性蛋白質研究の第一人者である山口大学農学部加藤昭夫名誉教授とのコラボレーションにより、スギ花粉症に関するプロジェクトから端を発し、人々の健康をテーマとして、2008年に和興フィルタテクノロジー株式会社で立ち上げられたバイオテクノロジーを専門とする新規事業部です。設置よりこれまでの10年間に、フィルトレーションとバイオの融合を切り口として、大学研究機関との活発なコラボレーションを通して、ヒトや動物の健康に寄与する新規な素材の製品化に全神経を集結し、様々な開発を推進してまいりました。
蛋白質の多様性
蛋白質と聞くと、皆さんは何をイメージされますでしょうか。
私たちの体の構造の構築にある蛋白質を構造蛋白質、酵素や物質の輸送など様々な化学反応に関わる蛋白質を機能性蛋白質と呼び、大きく2つに分けられます。
髪の毛のケラチン、皮膚のエラスチン(弾力性のある繊維蛋白質)、筋肉のアクチンとミオシンなどが構造蛋白質であり、リゾチームと呼ばれる消化酵素や物質の輸送に関わるヘモグロビン、からだの働きを調節するホルモンは機能性蛋白質です。
それぞれの蛋白質は生きていくうえで重要な役割を果たしております。
蛋白質の機能は一つではない!
最近の研究では、蛋白質には多くの機能があることが報告されております。
例えば、抗菌作用や炎症を抑える作用、免疫力を高める作用、そしてガンの発生を抑制する作用に至るまで、蛋白質を形作るアミノ酸配列や立体構造、または生体内で蛋白質が作られた後に結合する糖鎖や脂肪酸によっても、様々な機能が与えらえます。
天然抗菌性素材の可能性
ここで、私達は抗菌性素材を開発するために、「リゾチーム」という蛋白質に着目しました。リゾチームとは、細菌の細胞壁を分解し、溶かす作用があることから溶菌酵素と呼ばれ、生体の体液中に広く含まれ、感染防御に寄与している蛋白質です。
しかしながら、リゾチームを抗菌性素材として実用化レベルにするためには、安定性の確保が求められておりました。
また、介護の領域における衛生環境の整備には、細菌のみならず、真菌への抗菌効果まで性能を広げることも大変重要であり、リゾチームの更なる性能の改善が求められていました。
そこで、私達は蛋白質と多糖類の複合化技術に着目し、大学研究機関との共同研究を通してこのリゾチームの性能の強化に注力しました。
用いた多糖類は、植物性のものから動物性のものに至るまで、ありとあらゆる種類の組み合わせを検討しました。あるものは性能が改善せず、またあるものは安定性が低下してしまうものも。
そしてついに3年の歳月を経て、今までにない安定性と機能性を備える新規な抗菌性素材の作製に成功し、本機能性抗菌素材を「リゾックス」と名づけました。
大学研究機関の研究チームとの共同研究を通して、新規抗菌性素材の難治性呼吸器感染症の有害細菌に対する効果を検証しております。
また、真菌に対する抗真菌効果を高めるため、揮発性精油成分との組み合わせを根気よくスクリーニングし、2年間の歳月を経てようやく相乗効果の得られる組み合わせを発見しました。
現在は、臨床的な応用を目指し、大学病院の協力を得て、難治性の外耳炎や副鼻腔炎に対する効果の検証も推進しております。
展望
こうして産学連携による英知の集大成により、リゾックスは生み出され、様々な機能が解明されてきました。
リゾックスは、これまでの塩素やアルコールによる作用機序とは全く異なり、本来生体に備わっていた蛋白質の機能を強化させ、安全に菌の異常な増殖を抑えるといった全く新しいコンセプトに基づく素材です。そして、細菌叢バランスを保つことによる常在菌との共生、そして健康維持に貢献し得る次世代の機能性素材であると自負しております。
更に私達は、医療や介護、特に誤嚥性肺炎や褥瘡の予防には無くてはならない素材となることを期待しています。
本プロジェクトチーム編成から5年が経ち、ようやく新規機能性素材が商品へ配合されてリリースされることになりました。
わが社の挑戦はまだまだ始まったばかりであり、この開発を皮切りに新たな挑戦が始まります。
今回の取組みは私たちにとって新たな第一歩です。これからも、医療や介護の分野にて、感染の脅威から皆さんを守るために、何が出来るのかを探索してまいります。
リゾックスに関する発表論文